
新型コロナウイルス感染症が「有効求人倍率」に与える影響とは!?
「有効求人倍率」とは?
有効求人倍率とは、求職者1人に対して何件の求人があるかを示す数値で、「就職のしやすさ」の目安になる指標です。
例えば、求職者100に対して求人が200件あるとき、有効求人倍率は2.0倍となります。
多くの企業が積極的に求人募集をしているときは、有効求人倍率は1を上回ることになり、反対に、企業があまり求人を募集しないときには、有効求人倍率は1を下回ることになります。
この数値が大きいほど、「就職しやすい」傾向にあり、小さいほど「就職しにくい」傾向を意味します。
また、有効求人倍率は、景気とほぼ一致して動くため、景気の動向を知るための指標にもなります。
新型コロナウイルス感染症が雇用に与える影響
新型コロナウイルス感染拡大を受けた雇用情勢の厳しさが続いています。
厚生労働省が2020年9月1日に発表した7月の有効求人倍率(季節調整値)は1.08倍となり、前月から0.03ポイント低下しました。
これは、6年3カ月ぶりの低水準となり、総務省が同日発表した7月の完全失業率も2.9%と前月比で0.1ポイント悪化する結果となりました。
また、新型コロナ禍の前までは全都道府県で1倍を超えていましたが、7月は就業地別でみると東京が7年2か月ぶり、大阪が5年8か月ぶりに1倍を割り込みました。
厚生労働省は、緊急事態宣言は解除されたが、新規の求人は宿泊業や飲食サービス業、製造業などで減少が続いているとし、感染の拡大を受けて求職活動を控える動きもあり、今後の状況を注視する必要があるとしています。
リーマンショックを振り返る
ここ数十年の間で、日本経済には何回かの不景気がありました。
2008年に起こったリーマンショックは、一機に不景気の波が押し寄せ、翌年には有効求人倍率が0.47倍まで下がっています。
この有効求人倍率は、ほぼ求人がないことを意味しています。
リーマンショック時の有効求人倍率と比較すると、まだ開きがあるといえますが、予断を許さない状況です。
今後の転職活動
今回のコロナ騒動は、リーマンショックに並ぶ不況になるであろうと言われています。
リーマンショック時の有効求人倍率を振り返ると、リーマンショック前の数値に戻るのに約7年かかっています。さらに、2008年から「3年間」は、有効求人倍率が下がる一方でした。
このような観点から、今転職を考えている人は、いち早く行動することが良いと思われます。
また、今後さらに有効求人倍率が下がる可能性があるため、リーマンショック時の求人・採用状況を参考にし、リーマンショックを経験しているキャリアアドバイザーからの情報収集をするなどして、転職について考える必要があります。