レセプト・保険請求

レセプト・保険請求

柔道整復業界では、しばしば「保険請求」のことが話題に上ります。 意味を取り違えたり、処理方法を誤ったりすると時に危険なこともあるこの保険請求について、以下記述します。

■保険診療と自費診療

施術所の経営は、患者から受け取る「療養費」で成り立っています。 この療養費の支払方法には大きく分けて2種類あります。 「保険診療」と「自費診療」です。

<保険診療>
柔道整復師の施術については、保険の適用を受けることが認められています。ただし、全ての施術について保険が適用されるわけではありません。

現在、厚生労働省の「留意事項通知」では以下のように保険適用範囲が規定されています(※一部を抜粋)。

療養費の支給対象となる負傷は、外傷性が明らかな骨折、脱臼、打撲及び捻挫であり、内科的原因による疾患は含まれないこと。

なお、介達外力による筋、腱の断裂(いわゆる肉ばなれをいい、挫傷を伴う場合もある)については算定して差し支えないこと。

また、外傷性とは、関節等の可動域を超えた捻れや外力によって身体の組織が損傷を受けた状態を示すものであり、いずれの負傷も、身体の組織の損傷の状態が慢性に至っていないものであること。

上記の中で、「打撲」「捻挫」「挫傷」の3つは、柔道整復師自身の判断で治療ができ、保険も適用されます。

残りの「骨折」と「脱臼」については、最初の応急治療に限り柔道整復師の判断により施術が可能で、保険も適用となりますが、2度目の治療からは医師の同意が必要です

但し、病院や診療所において同じ時期に同じケガを治療している患者への施術は、保険の適用外となります。

<自費診療>
上記で述べた施術以外のものは保険が適用されないため、全て患者が全額を負担する「自費診療」となります。

自費診療のメニューで代表的なものとしては、腰痛や肩こりなどの慢性的なもの、リラクゼーションを目的としたもの、骨盤矯正や猫背矯正などバランスを整えるもの、などです。

近年は、保険適用の診療を取りやめ、院での施術を全て自費診療としている整骨院なども増加しています。

自費診療については内容も金額も自由に設定でき、レセプト業務なども発生しないため、人的コストを抑えられる、入金が遅れることがない、といった強みがあります。

しかし自費診療のみでの院経営は容易ではなく、充分な事前調査を行った上で、経営計画を入念に立て、完全自費に移行後も独自性を確立する、PR戦略を続けるなどの努力が必要です。

■療養費(保険適用時)の処理方法

療養費に保険が適用される場合、その事務処理の方法には2種類あります。「償還払い」と「受領委任」です。

<償還払い~患者が保険者に請求>
保険適用の施術を受けた後、患者が施術者に療養費の全額を一旦支払い、その後患者自身が保険者に対して自己負担分を除いた金額を保険者に請求する方法です。

これは「償還払い」と呼ばれる方法で、柔道整復の療養費支払は原則としてこの償還払いとなっています。

しかし、保険者への手続きなどが全て患者の負担となってしまい、ケガなどの治療を受けている患者にこういった手間をかけさせるのはあまり現実的ではありません。

そこで例外的なものとして認められているのが、受領委任という方法です。

<受領委任~施術者が保険者に請求>
上記の償還払いの患者負担を軽減するために、施術者(もしくは代理の団体)が一旦療養費の保険該当分を負担して、患者からは自己負担分のみを受け取り、後に施術者(もしくは代理の団体)から保険者に対して保険該当分を請求する、という方法が柔道整復の施術所には認められています。

これが「受領委任」という請求方法です。ちなみに、この方式は、平成30年度からあん摩マッサージ指圧師、鍼灸師の施術所でも認められるようになりました。

この受領委任で発生するのがレセプトです。

■「レセプト」とは

「レセプト」は、ドイツ語の「Rezept(レツェプト)=処方箋」が語源の言葉で、柔道整復師が働く整骨院などでは、保険請求を行う際の「療養費支給申請書」のことを意味します。

ただし、現場では、より広い意味で保険請求の業務全般を「レセプト」あるいは「レセプト業務」と呼ぶこともあります。

病院などの医療機関でも、医療事務の現場で同じ「レセプト(通称・レセ)」という言葉を使いますが、この場合は「診療報酬明細書」を意味し、その内容や処理方法には大きな違いがあります。

整骨院などの施術所では前述の「受領委任」が認められているため、保険が適用となる治療を行った場合、このレセプトを詳細にわたって記入し、保険者に患者の一部負担費を除いた療養費の請求を行います。

なお、このレセプト処理は、受領委任の場合のみ発生するものです。「償還払い」や、保険の適用外となる「自費診療」の場合は、レセプトに関する業務は発生しません。

■どんなことをするのか?

整骨院など、柔道整復の施術所での保険請求においては、療養費が厚生労働省によって決められており、随時改定されています。

初検料、初検時相談支援料、往療料は金額固定で、整復料、施療料、固定料は施術内容によって変動します。

また、冷罨法料、温罨法料などは1部位あたりの金額が定められており、部位数によって変動します。

さらに上記の内容は、初検、2回目、3回目以降というように適用される範囲も規定によって分けられています。

この内容に沿って、治療院では施術管理者が毎月レセプト処理を行い、作成したレセプトを審査会に提出。審査会のチェックを経て保険者に請求が届き、保険者のチェックを受けて内容に問題がなければ療養費が院に支払われます。

この過程上で問題が発生した場合、返戻(へんれい)といってレセプトが差し戻されます。返戻が発生した場合、院の会計に影響が出てしまうため、レセプトの作成時には記載ミスや記入漏れなどが起こらないよう厳重に注意する必要があります。

■レセコン(レセプトコンピューター)

レセプトの作成については、従来は紙媒体(手書き)で行っていましたが、効率化やミスの防止、不正の抑制などの目的で、保険事務の電子化が進められており、国もレセプト処理の電子化を推進しています。

ここで使われるソフトウェアはレセプトコンピューター(通称:レセコン)と呼ばれ、各社から多くのものがリリースされています。

レセコンは、制作しているメーカーによって対応機種や互換性など様々なものがあり、機能面でも領収証・明細書の発行、スキャナでの自動読み取り、マーケティングなどのサービスコンテンツ、サポート体制など、それぞれに個性・特徴があります。

レセコンの導入によって、整骨院の現場では、人的工数の削減、事務処理のスピードアップ、ミスの防止などが期待できます。

ただし、導入にかかる経費や、メンテナンス費などのランニングコスト、周辺機器の購入費用などもメーカーによって様々であり、選択を誤った場合の再導入には金額面でも人的負担という面でも大きな無駄が発生します。

院の運営スタイルやスタッフのスキル、経営計画に合わせて、比較検討の上、慎重に選ぶことが必要です。

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