開業し院を経営する

開業し院を経営する

柔道整復師になることの魅力のひとつに「独立開業して自分の施術所が持てる」という点があります。

これは柔道整復師免許を持つ人全てに与えられる資格であり、自分自身をステップアップさせていく大きな目標の一つになります。

■柔道整復師の開業率

厚生労働省のデータでは、柔道整復師の免許を取得後に独立開業した人は全体の2割強、施術所やその他の職場に勤務している人は7割強という結果になっています。

平成30年に実施された第26回柔道整復師国家試験の合格者数3,690人にこの数字をそのまま当てはめると、概算で800前後の施術所が誕生することになります。

また、開業した人のなかでも半数強が個人事業の施術師として従業員を雇わずに勤務しているという調査結果もあります。

もちろんこれらの数字は年度ごとに変化し、施術師の年代によっても異なってきますが、感覚的な目安として覚えておくと良いでしょう。

■業界内の近況

独立開業すること自体は難しいことではありませんが、現在柔道整復の施術所は数多く存在するため、その中で生き残っていくための知識や技術を身につけておく必要があります。

参考までに、平成28年末時点の調査では、全国の接骨院・整骨院の数は48,024ヵ所、柔道整復師は68,120人という結果でした。

平成10年の調査結果と比較すると、18年間で院の数は2倍以上、柔道整復師数は2.3倍以上にまで増えています。この傾向は今後も続く見込みです。

こういった状況をふまえて、免許を取得してすぐに開業するよりも、数年間の実務経験を身に付けてから独立開業することの方が現実的です。

また、制度も変わってきています。 平成30年度より、施術所の開院には一定の要件を満たすことが必要になりした。

■平成30年度から加わった要件

新しく加わった要件は、「平成30年4月より、柔道整復の施術所において療養費の受領委任を取り扱う施術管理者になる場合は、一定の実務経験と、研修受講が必要」というものです。

それぞれの具体的な内容は、以下の通りとなっています(一部特例による緩和あり)。

【必要な実務経験】
・平成30年4月から平成34年3月までに届出する場合・・・1年間の実務経験
・平成34年4月から平成36年3月までに届出する場合・・・2年間の実務経験
・平成36年4月以降に届出する場合・・・3年間の実務経験

【研修の受講】
・研修時間~16時間以上(2日間程度)
・研修内容
1.職業倫理について
2.適切な保険請求
3.適切な施術所管理
4.安全な臨床

上記要件の追加については、適切な保険請求の履行、及び質の高い施術を提供することが目的とされています。

このように、独立開業をするためには、しかるべきキャリアとスキル、および職業倫理を身につけておくことが必要です。

■開院へのステップ~経営計画

増え続けている整骨院・接骨院の中で生き残っていくためには、施術所を開設する前の経営計画が重要です。

立地はどこにするか、院の規模はどのくらいに設定するか、何に対しどのくらい投資するべきか、それらの減価償却プランはどのように立てるか、といった経営に関することを全て考えるのは大変ですが、経営者に向いている人であればこれらのプロセスを楽しめます。

また、スタッフの雇用も、ひとつの投資です。1人前に育てるために要する労力や期間も費用に換算して考え、必要な人数やスキルを検討し、欠員が出た時などにも随時対処しなくてはいけません。

それらを踏まえ、施術所開設までのロードマップをおおまかに示すと、以下のような流れになります。

<時期>
「いつか開業したい」という目標が、夢のままで終わってしまわないためにも、まずは開業する時期を決める必要があります。

自分の希望と、準備に必要な期間を擦り合わせて開業年月日の目標を設定し、開業計画をスケジュールに落とし込んで進めていきましょう。

<場所>
施術所の経営は集客が命です。 集客には、施術所の立地が大きく関わってきます。 ターゲットエリアをいくつかに絞り込みましょう。

また、エリアを絞り込んでも、条件に適した物件がない場合は選択をリセットしなければならない場合もあります。

場所によってはテナント料が高価であったりするので、資金計画とリンクさせながら熟考することが必要です。

<資金>
施術所の開設には、数百万~数千万と、相応の資金が必要です。 自身の貯蓄などで足りるのか、融資が必要なのかを見極め、融資を受ける場合には過不足の無い金額を算出しましょう。

当然、融資を受けるためには返済計画も同時に立てる必要があります。 返済に追われて自転車操業にならないよう、余裕を持った計画にすることが大切です。

<店舗の物件>
施術所が入る物件も、早めに動いて決める必要があります。 店舗物件によって予算が大きく変わってくる場合があるからです。

不動産業者や紹介業者などと調整し、比較検討を行いましょう。 また、好条件の物件はすぐに成約してしまうこともあるので、スピード感を持つことも大切です。

以前の入居者の環境が流用できる「居抜き物件」であれば低コストで収められることもあります。 ただし、同業者の撤退物件の場合は、前入居者がそこを立ち退いた理由もよく考えた上で入居を決めるようにしましょう。

<院内設備>
治療機器や院内設備、備品などの手配は、予想以上に時間と手間がかかるものです。 立地と店舗が決まったら、できるだけ迅速に動くようにしましょう。

ベッド数はどのくらいにするか、何をどのように院内にレイアウトするのか、リースなのか購入なのか、といった点を同時に考える必要があります。

治療機器やリース会社の選別は難しいので、できれば施術所の先輩経営者などにアドバイスをもらいながら進める方が無難です。

<広告>
自分の院を開院して、ただ待っていても来院者は増えません。集客努力を続ける必要があります。

院の外観デザインに始まり、チラシやWebを使った周知、媒体を使った広告戦略、口コミの活用など、随時見直しを図り、手を止めることなくPRを続けることが大切です。

また、地域へ浸透するような活動を続けることも重要です。 直接の利益にはなりませんが、院の認知度と信頼を高める効果があります。

<その他>
従業員を雇用する場合は求人を早めに行い、開院前に研修を行う必要があります。

さらに、開院後はスタッフの生活を保障する上で、給与を毎月きちんと支払い続けるという義務が発生します。 経営がうまくいっていない時には、自分の収入を削ってでもスタッフに給与を払わなくてはいけません。

また、人は勝手に育つものではないので、後進の指導を随時行い、常に先頭に立って学び続け、それを現場スタッフにフィードバックしながら人材を育成することも、経営の要素の一つです。

もちろん、スタッフへの目配り、精神的なケアも大切です。 誰もが働きやすい環境を整えることは、経営者の大切な仕事の一つとなります。

自分の施術所を持つためには、おおむね以上のような手順を踏むことが必要です。

さらに開院後も経営計画の見直しを続け、時流を読みながら人一倍の努力を積み重ねることで、柔道整復師としてのステップアップが果たせ、経営者としても成長でき、地域医療に貢献できる院を作ることができます。

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