自費診療

自費診療

柔道整復の施術所では、「保険診療」と「自費診療」の2つで患者に対応しています。

近年は、施術所経営において「自費診療」が鍵になってくるという意見も業界内で交わされています。 自費診療に関する基礎知識と、今後の展望を知っておきましょう。

■自費診療の必要性

今後の柔道整復業界では、保険診療のみで、全ての規則を遵守し、院の経営を健全に続けていくのは困難になっていくことが予想されます。

理由としては、施術所への保険診療に関する規制が厳しくなってきていること、施術所数が増加していること、整形外科など他業界との競合、といったものが挙げられます。

参考までに、近年の傾向を見ると、平成22年度の柔道整復療養費総額は4,068億円だったのに対して、平成26年度は3,825億円と、4年間で約94%にまで減少しています。

逆に柔道整復の施術所数は、平成22年は37,997件だったのに対し、平成26年では45,572件になっており、約120%という増加率です。

この数字から単純に計算すると、1施術所あたりの年間療養費は
・平成22年・・・10,706,108円
・平成26年・・・ 8,393,312円
という結果になり、4年間で78.4%まで減少している計算になります。

また、近年報道などでも取り上げられている保険診療の不正請求問題もあり、業界の内外で施術所における診療のあり方を見直す動きが出ています。

これらをふまえ、自費診療や付随サービスをメニューにどれだけ取り入れていくかが、施術所の生き残りにおけるポイントのひとつになります。

ここで一旦、柔道整復の施術所における保険診療のルールを整理してみましょう。

■保険が適用できるもの

柔道整復の施術所で保険が適用できるのは「骨折」「脱臼」「打撲」「捻挫」「挫傷(肉ばなれ)」のみと規定されています。

中でも「骨折」と「脱臼」は緊急対応のみに限定され、2回目以降は医師の同意が必要です。

また、病院や診療所で同じ時期に同じケガの治療をしている患者への施術は、保険が適用されません。

■自費診療のポイント

上記で挙げた保険が適用される施術以外は、全て自費診療対象となります。

代表的なものとしては、腰痛や肩こりなど慢性的な症状、猫背矯正や骨盤矯正、O脚改善などで、これらは柔道整復の技術も生かしてできる内容です。

最近では、ケガに対する施術も、それ以外のメニューも含めて、一律に保険を適用しない「完全自費診療」に特化した施術所も増えてきています。

自費診療は、内容も金額も自由に設定でき、レセプト業務なども発生しないため、人的コストを抑えられる、入金が遅れることがない、といった強みがあります。

ただし、自費診療のみでの施術所経営は容易ではありません。 事前調査を充分に行った上で、経営計画を立て、自費診療に移行後も独自性を確立する、PR戦略を積極的に行う、などの努力が必要です。

■付随サービスも

手技による施術で、さらにサービスを広げるには、リラクゼーションを目的とした施術を行う、美容系のメニューを設ける、といったものが挙げられます。

他にも、O脚改善マシンや酸素カプセルの導入など、機器メニューを増やすという方法もあります。 コストはかかりますが、治療にかかる人件費を抑えられるというメリットが得られます。

ただし、こういったサービスについては、一般の整体院やエステサロン、リラクゼーションサロンなどで提供しているサービスと競合することになります。

整体やエステ、リラクゼーションは柔道整復師法による規制を受けないため、広告も比較的自由で、PR戦略にも力を入れており、集客を競い合うのは難しい面もあります。

■自費診療では「PR」が重要

集客は、どの施術所にとっても重要事項のひとつで、経営者が最も頭を痛めることかもしれません。

集客力アップには広告が欠かせません。 しかし、柔道整復の施術所の広告は柔道整復師法によって厳しく規制されています。 以下のような内容です。

柔道整復師法(広告の制限部分を抜粋、編集)
第二四条 柔道整復の業務又は施術所に関しては、何人も、文書その他いかなる方法によるを問わず、次に掲げる事項を除くほか、広告をしてはならない。
1 柔道整復師である旨並びにその氏名及び住所
2 施術所の名称、電話番号及び所在の場所を表示する事項
3 施術日又は施術時間
4 その他厚生労働大臣が指定する事項
 (1)ほねつぎ(又は接骨)
 (2)医療保険療養費支給申請ができる旨(脱臼又は骨折の患部の施術に係る申請については医師の同意が必要な旨を明示する場合に限る。)
 (3)予約に基づく施術の実施
 (4)休日又は夜間における施術の実施
 (5)出張による施術の実施
 (6)駐車設備に関する事項
※第1号及び第2号に掲げる事項について広告をする場合においても、その内容は、柔道整復師の技能、施術方法又は経歴に関する事項にわたつてはならない。

上記規定に違反すると、処罰の対象となります。 規定の範囲内で、様々な媒体を駆使して自院の存在をより多くの人に知ってもらうことが大切です。

■媒体の種類と注意点

施術所のPRをする際に利用できる媒体は、主に以下のようなものがあります。

<チラシ>
チラシは広告の中でも地味に見える存在ですが、現在でも一定の宣伝力を持った媒体です。

ネットで発注するチラシ制作などは小ロットにも対応し、単価を安く抑えられるものもあるため人気が高まっています。

<地域の配布物>
チラシの場合、印刷した後の配布に手間がかかり、業者に依頼するとコストがかかるため、地域の配布物に名刺広告を掲載するという方法もあります。

施術所の所在エリアで配布されている防災マップ、地域のエリアマップ、○○区だよりなどの公共配布物に協賛企業として広告を入れるもので、それなりの認知性とPR効果があります。

<フライヤー>
チラシではなく、院内設置が目的の印刷物であれば「告知物」とみなされるので、施術料や保険適用の内容、付随メニューなども記載することができます。

A4より小さ目のフライヤーであれば掲載ボリュームも丁度良く収まり、患者に持ち帰っていただくこともできます。

<雑誌やフリーペーパー>
広告、あるいは取材記事という体裁を取った記事広告という形で、雑誌やフリーペーパーに掲載することも可能です。 ただし媒体によっては掲載料が高額になる場合もあります。

雑誌やフリーペーパーも法の規制を受けるので、出版元に確認して、どの程度までの内容が掲載できるか事前に擦り合わせる必要があります。

<Webページ>
最も身近で手軽に始められる広告活動がWebです。 方法によっては費用もほとんどかけずにスタートできます。

自社Webを立ち上げる、ブログ形式の広告を出す、SNSを利用するなど、様々な手法があります。 場合によってはWebページのデザイン会社など専門家に依頼するのも一つの方法です。

上記のような手段から最適な方法を選んで、効果的なPRを続けていくことが重要ですが、いずれにしても自費診療の場合は、今までの集客方法とは違ったロジックで考える必要が出てきます。

自費診療のセミナーに積極的に参加する、集客専門のコンサルタントに相談する、異業種との交流を図るなど、新しい手法を取り入れながら、業界全体の動向も予測しつつ、それに適応していく力が必要です。

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