専門学校・専門職大学

専門学校・専門職大学

,「はり師」「きゅう師」は、国家試験に合格し、厚生労働大臣から発行された免許を持つ人だけが有する国家資格です。この免許がないと、業として鍼灸の施術を行うことはできません。

,国家試験を受験するためには、文部科学大臣又は厚生労働大臣・都道府県知事の認定した養成施設で学ぶことが必要になります。

鍼灸師の養成施設

,あはき法では、国家試験の受験資格のひとつを、以下のように定めています。

,三年以上、文部科学省令・厚生労働省令で定める基準に適合するものとして、文部科学大臣の認定した学校又は、厚生労働大臣あるいは都道府県知事の認定した当該各号に定める養成施設において解剖学、生理学、病理学、衛生学その他あん摩マツサージ指圧師、はり師又はきゆう師となるのに必要な知識及び技能を修得したもの(※主旨を抜粋)

,ここで述べられている「学校」、「養成施設」には以下のような種類があります。

, ・専門学校(3年または4年)
, ・短期大学(3年)
, ・大学(4年)
, ・専門職大学(4年) ※新制度・平成31年度から開校予定

,養成施設の中には夜間部(別項参照)が設置されているところもあります。また、視覚障がいがある人を対象にした施設(盲学校、視覚支援学校など)も存在します。

,これらの養成施設は全国に170校以上があり、その中でも代表的なものが専門学校です。

専門学校で学ぶ内容

,はり師・きゅう師の専門学校に入学するには、高校を卒業した後に、各学校の入学試験を受験し、合格することが必要です。

,最近は、学力ではなく人物像で合否を判定する「AO入試」を導入している学校も増えています。また、受験について年齢の制限はないため、社会人経験者でも入学可能です。社会人などを対象とした特別入試制度を設けている施設もあります。

,入学後は、人体構造や運動学、病理学、衛生学など基礎分野の授業にはじまり、専門分野の鍼灸学、東洋医学、経絡経穴などを学びながら知識を深めていきます。

,課程が進むごとに専門分野の授業が増え、鍼灸の理論、知識、技術を身につけつつ、臨床実習も行っていきます。

,鍼灸師は国家資格であるため、学ぶ内容は国によって決められていますが、具体的な進め方やカリキュラムの詳細は学校によって異なります。

授業以外の場

,専門学校では、授業だけでなくレクリエーションや学園祭、各種研修やボランティア活動、サークル活動など、学生ならではの楽しみや学びの場も、多くの学校で用意されています。

,卒業が近くなると、臨床実習を行いつつ、国家試験受験に向けての勉強も進めていきます。同時に、就職のための面接講座やマナー講座を行っている学校も多く、生徒は鍼灸師として社会に出るための準備を始めます。

,さらに、3年、4年次での就職支援や、卒業後の開業支援などを行っている学校もあり、自分の希望する進路と照らし合わせて学校選びをすると卒業後の不安も軽減されます。

専門職大学が新設

,学校・養成施設のジャンルに、新しく「専門職大学」が加わることが平成29年に決定しました。大学制度の改変は、昭和39年の短期大学設置以来、55年ぶりのことです。

,「専門職大学」は全く新しい高等教育機関で、現在の大学で行われている「学問」としての教育から、より「実務」に重点を置いた方向へシフトした教育を行う施設です。

,簡潔に表現すると、専門学校の持つ「職業教育」という特性を取り入れた4年制大学である、ということもできます。

,設立の背景には、大学の林立による進学率の高まり、それに対する社会から求められる有用な人材の育成(即戦力性)、AIやロボットの参入といった社会事情があります。

,こういった社会の変化に対応するために、新しい教育機関のあり方が教育関係者や有識者、政府の間で検討され、専門職大学の新設が決定されました。

既存大学との類似点・相違点

,専門職大学で行われる教育には、職業専門科目や、企業実習のカリキュラムが多く盛り込まれ、教員も4割以上が実務家を任用するものとされています。

,さらに、学び直しを求めている社会人のニーズに応えるため、実務経験がある人には単位の一部を既得とする制度も盛り込まれています。

,また、専門職大学と同じ考え方の「専門職短期大学」も新設されます。現在の短期大学と同様、2年~3年の在学期間内に、より職業教育に特化した教育を受けることができます。

,卒業後に得られる学位は、専門職短期大学が「短期大学士(専門職)」、専門職大学が「学士(専門職)」です。

開始時期

,専門職大学、および専門職短期大学が正式に始まるのは平成31年度からです。

,専門職大学・短期大学の設置については、平成29年5月に「学校教育法の一部を改正する法律」が成立し、同月末に公布され、正式に制度化されました。

,以降、上記改正法に伴う政令・省令が順次公布され、各自治体の教育機関への周知が行われました。

,その後、昨年末に認可申請施設が発表され、現在は大学・短期大学あわせて16校が開校に向けた準備を整えている段階です。

鍼灸師を養成する専門職大学

,専門職大学の認可申請校は13校、専門職短期大学の申請校は3校あり、職種はデザイナー、エンジニア、医療、福祉、食などと多彩です。

,この中で、専門職大学の4校は鍼灸師・柔整師のコースを持っています。また、その中の3校は昼間部・夜間部の2コース開設を予定しています。具体的には以下の通りです。

,■東京医療福祉専門職大学[東京都新宿区]
, 医療福祉学部 東洋医療学科 鍼灸コース・柔道整復コース
, (※共に昼間部・夜間部あり、全て定員は30名)

,■名古屋医療福祉専門職大学[愛知県名古屋市]
, 医療福祉学部 東洋医療学科 鍼灸コース・柔道整復コース
, (※共に昼間部・夜間部あり、全て定員は30名)

,■大阪医療福祉専門職大学[大阪府大阪市]
, 医療福祉学部 東洋医療学科 鍼灸コース・柔道整復コース
, (※共に昼間部・夜間部あり、全て定員は30名)

,■福岡専門職大学[福岡県福岡市]
, 保健医療学部 柔道整復学科・鍼灸学科
, (※昼間部のみ、定員は柔道整復学科80名・鍼灸学科40名)

,これらの学校が開校すれば、現在の新卒採用ジャンルである専門学校、大学などの養成施設に加え、「専門職大学卒」という新しいものが加わることになります。

,申請校の認可や、具体的な運用については文部科学省から順次発表されます。チェックしておきましょう。

今後の状況

,20年前に全国100校ほどだったはり師・きゅう師養成施設は、前述の通り現在では170校以上までに増えています。

,仕事として人気がある、という見方もできますが、卒業生が増えるということは、競争相手が増えるということでもあります。

,近年は施設数も横ばい傾向にありますが、平成28年の時点ではり師として就業している人の数は116,007人、きゅう師は114,048人おり、今後もこの数は増加していく見込みです。

,参考までに、平成29年3月に実施されたはり師国家試験は、受験者数4,527人(合格率67.0%)、きゅう師が4,443人(合格率67.7%)という結果でした(新卒受験者の合格率は、はり師83.5%、きゅう師83.3%)。

,このペースが継続する場合、毎年それぞれ3,000人近くの有資格者が増えて行くことになります。そういった状況の中で、鍼灸師として活躍し、生き残っていくためには、学生時代から勉強を重ね、スキルを身に付ける努力を続けていくことが必要です。

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