訪問マッサージ

訪問マッサージ

「訪問マッサージ」は、比較的手軽に開業できることや、今後の超高齢化社会に向けてニーズの拡大が見込まれることなどもあり、注目度の高い業態です。

個人で行えることも魅力として挙げられる訪問マッサージとは、具体的にどのようなものなのでしょうか。

■訪問マッサージの仕事内容

訪問マッサージは、通院での治療を受けることが難しい人に対して、自宅でのマッサージ治療を行う仕事です。主に高齢者が治療対象になります。

通院での治療を受けることが困難、というのは、歩行や移動が難しかったり、寝たきりの生活だったりする状態を意味します。おのずと普段の運動量が健康な時に比べて格段に少なくなります。

運動量が減ると、その結果として筋肉の働きは鈍くなり、関節の動きも衰えていきます。生活が変わらなければ、この傾向も徐々に悪化してしまいます。

こういった人に向けて、自宅でマッサージ治療を施し、血やリンパの流れを改善すると同時に筋肉・関節をできるだけ生活状態に近づけて、機能回復をめざすのが訪問マッサージの仕事です。

高齢者が主な対象のため、患者だけでなくその家族とコミュニケーションをとることも重要で、ケアマネージャーや担当医との連携が必要となることもあります。

■訪問マッサージができるのは有資格者のみ

訪問マッサージは、通院での「治療」が困難な人が対象であるため、対応できるのは国家資格である「あん摩マッサージ指圧師」の有資格者のみです。

治療を目的とした行為なので、医療保険を適用することができます。利用者の負担額は数百円程度のケースがほとんどです。

ただし、「あん摩マッサージ指圧師」の有資格者であっても、施術所での治療と同様、医療保険の適用には医師の同意が必要となります。

また、「マッサージ」という名目でも、たとえばリラクゼーションを主目的としたようなものは治療行為ではないので、保険の対象外となります。

■仕事のやり方

訪問マッサージの仕事をする方法としては、大きく分けると、個人もしくは自分の院で直接受託する方法と、所属する会社などから間接的に依頼を受ける方法の2つがあります。

個人事業主、もしくは自分の院で受託する場合、「訪問マッサージをお願いします」と直接の依頼が入るケースはまれなので、サービスをしていることをPRし、自分から働きかける必要があります。

一般的には、介護施設やケアマネージャーに直接営業をして、訪問マッサージの仕事を紹介してもらうことが多いようです。

上記の方法ではなく、訪問マッサージのサービス会社から仲介してもらう場合は、その会社に所属して社員やアルバイト・パートとして仕事にあたるケースや、フランチャイズとして自分の院を経営する、または有資格者としてサービス会社に登録する、といったケースが考えられます。

参考までに、現在就業中のあん摩マッサージ指圧師の有資格者で、訪問マッサージを専門とする勤務先に努めている人は、就業者全体のおよそ3割という調査結果もあります。

このデータからも、訪問マッサージのニーズの高さと、就業先としての人気度がうかがえます。

■開業する場合

訪問マッサージを専門として開業する場合、施術所を開院する必要がないため、開業コストが抑えられるというメリットがあり、そういった点でも人気があります。

あん摩マッサージ指圧師が開業する際には、「あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律」(以下・あはき法)の規定により、届出義務があります。

<あはき法・第9条の2より>
施術所を開設した者は、開設後十日以内に、開設の場所、業務に従事する施術者の氏名その他厚生労働省令で定める事項を施術所の所在地の都道府県知事に届け出なければならない。その届出事項に変更を生じたときも、同様とする。

この届出を怠ると、処罰(30万以下の罰金)の対象となります。これは、訪問マッサージが専門で施術所を開設しない場合も同様です。

また、平成30年度から適用が開始された「受領委任」を行う場合も、施術管理者の登録が必要になります。

受領委任の現場導入は、平成31年1月から開始の予定です。詳しくは、本ホームページの業界ニュース「あはき施術所への受領委任導入は、平成31年開始に変更」を参照ください。

■収入

訪問マッサージによる収入は、個人で直接請け負っている場合は訪問件数や施術内容によって異なりますが、1件平均3,000円のサービスを提供し、1日に7~8件を訪問したとして2万円~3万円くらい(1日あたり)になります。

また、会社に所属して従業員として仕事をする場合、月収で20万円~40万円くらいが相場です。こちらはインターネットの求人サイトなどでも確認できます。

もちろん、上記についてはその人のキャリアや、仕事をするエリアなど、諸条件によって金額は変わります。

今後は社会の高齢化によってニーズの高まりも見込まれる仕事だということもあり、その人の努力とサービスの向上で収入増が見込めます。

■往療料と具体的な療養費

訪問マッサージは、通常の施術と勤務形態が異なりますが、収入面においても療養費に加え、訪問にかかった交通費(往療料)が加算されるという点で違いがあります。

往療料は、施術基点から往療先への距離に応じて決められており、一定の距離以上離れたところへの往療は、特別な事情がある場合を除き禁じられています。

また、療養費は通常の施術所と同様、施術内容が保険適用範囲内であり、医師の同意があれば公的医療保険の適用を受けることができます。それ以外の施術については、すべて自費診療となります。

この療養費と往療料については、定期的に改定が行われており、平成30年6月1日に直近の改定が施行されています。改定内容は以下の通りです。

あん摩マッサージ指圧師の施術に係る療養費改定
・マッサージ(旧)285円→(新)340円
・変形徒手矯正術(旧)575円→(新)780円
・往療料(旧)1,800 円、2 ㎞増すごとに770 円加算、片道8~16kmは2,310円加算
    (新)2,300 円、片道4 ㎞を超えたら2,700 円
・施術報告書交付料300 円(※平成30年10月1日より施行)

■訪問マッサージの問題点

訪問マッサージについては、専門とする業者・サービス提供業者の増加に伴って療養費請求の水増し問題などが顕在化しており、公的機関や保険者からのチェックも年を追うごとに厳しくなっています。

2018年1月には、福岡の訪問マッサージ業者による療養費の不正請求が発覚し、当該業者は約1億7千万円にのぼる療養費を返還した、という事案も発生、各メディアでも取り上げられました。

訪問マッサージは、今後の超高齢化社会の到来に向けて、将来性が期待されている業態であり、あん摩マッサージ指圧師が大きく貢献できる場としても有効であるため、不要な規制がかかるのは好ましくないことです。

社会においての信頼獲得のため、及び業界の発展のためにも、訪問マッサージには健全かつ透明性を保った事業運営が求められています。

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