【前編】元ソフトバンクホークス馬原孝浩、特別インタビュー「何事も誠心誠意、一所懸命に取り組むことが大事です。」

【前編】元ソフトバンクホークス馬原孝浩、特別インタビュー「何事も誠心誠意、一所懸命に取り組むことが大事です。」

-まえおき

歴代7位、通算182セーブ。最速158kmの剛速球。
日本プロ野球界を代表するクローザーだった馬原孝浩さん。

ソフトバンクホークスで長くストッパーを務め、07年には38セーブを挙げてタイトルにも輝いた。

13年にバッファローズに移籍し、多くのシーンで活躍された言わずと知れたトップアスリート。そんな馬原さんが現役を引退し、進んだ道は

「柔道整復師・鍼灸師の国家資格」を取得する道。

現在、馬原さんは九州医療スポーツ専門学校(学校法人国際学園;福岡県北九州市)の柔道整復学科とスポーツ鍼灸学科の1年生だ。(二つの学科は週3日開講の夜間部の為、3年間でダブル資格取得を目指すことが可能)

現役引退後、「何故その道を選んだのか」そして、「プロアスリートの視点からみた、スポーツトレーナーの存在について」を聞いてみた。

資格を取ろうと思ったきっかけ



ー 「プロ野球球団を代表するクローザー」であった馬原さんが、引退後、様々な選択肢がある中で、柔整・鍼灸師の資格を取ろうと思った、きっかけは何ですか?



馬原氏: ホークス現役時代の2008年に肩を壊したんです。(右肩炎症)2012年春に肩の手術をし、1年間リハビリに費やしました。

翌2013年にオリックスに移籍をしましたが、またそこで肩を壊したんです。(右鎖骨下にある腕神経叢の炎症)珍しい神経の怪我(日本では例がなく、メジャーリーグでも数例しかない珍しい症例)でした。

それまでは、オーソドックスなストレッチを中学時代から毎日続けてきていましたが、とうとう自分で自分の身体が手に負えなくなってきたんですよ。

それで、トレーナーに肩や股関節を診てもらってましたが、それでもやっぱり身体に追いつかない。なので、日本中様々な病院や治療院を紹介してもらって行きましたね。その時にいろいろと勉強になるものがあったので、それが少しずつ自分の引きだしに入ってきました。

そのお蔭で「自分に合ったいいもの」が分かってきましたが、それができるトレーナーは見つかりませんでした。

なので、トレーナーに一日5時間、休みなしで丸々3カ月間、僕が求めているマッサージとストレッチを教えました。

僕は、そのやり方でいいのかを試合で答え合わせできるので、トレーナーにフィードバックすることによりさらに良いものができあがるんです。

そうしているうち「このケアで間違いない!」という本当にいいものが出来上がってきたんです。ただ、人に教えるのはとても根気と気力がいるので、かなり疲れました。

試合がある日は、球場に行く前に教え、試合後も教えるという日が続いたんですが試合中に気力が持たず、疲れてしまうということがあったんです。 人に教えていては気力が続かない、だったらもう自分でやろうと思ったわけです。

ダブル資格を目指す大変さ



ー そこで、柔道整復師と鍼灸師のダブル資格を一気に目指すというのは、生半可な意思ではないですね。一つの資格だけでも国家試験がある3年生になると勉強することに必死だと思います。



馬原氏: 確かにそうだと思います。入学して最初の3ヶ月は、とても一日が長かったですね(笑)

こんなに一日は、長かったんだと思いましたし、これまでの人生で、今一番勉強しています勉強に没頭しているという感じですよ。

そこまで、やろうと思ったのには、理由があります。今まで勉強したり、トレーナーと一緒に作り上げてきたものを僕が他のアスリートに出来たらどうなるだろう?という考えが、頭の中に浮かんできたんです。

プロ野球では毎年1月は、自主トレをしますが、僕が引退してからも若手たちが家に来て、自主トレしてました。これは選手の身体がみられるチャンスだと思ったんですが、誰も「肩をみてください」とか「股関節みてください」と言ってこないんですよね。まあ、当然と言えば当然なんですけどね(笑)

選手たちからすれば、僕は年上だし、ましてや専門的に体のことを勉強しているということも知らないので。 だったら1から勉強して資格を取ろうと思ったんですよ。より説得力も増すし、資格を持っていれば、身体をみてもらえるって解かるじゃないですか。

最初は、柔整も鍼灸もという併学までは考えてなかったんですけど、どっちを取るかという選択ができず、併学にしたんです。


ー それにしてもマッサージやストレッチをトレーナーに教えるのに一日5時間は、長いですね!





馬原氏: 5時間というのは、マッサージで5時間、ストレッチで5時間という意味です。それをミックスさせ、1時間半で仕上げることを教えていました。

アスリートとしての僕は、トレーナーの手技は、なるべく短い時間で行うというのが理想でした。毎日受けるものなので、時間が長いと逆にストレスになるんですよ。

アスリートは、表舞台に立っている時にマックスの気力が出ないといけないので、短い時間で効果的な手技を行わないといけないんです。

最初は手技を学ぶことに精いっぱいですが、段々とできるようになります。でもまだその次に重要なものがあるんです。

選手との信頼関係



ー 手技をおぼえた後に重要なものとは?


馬原氏: 今まで3人のトレーナーに教えましたが、僕がいつも言っていたのが、「選手との信頼関係」です。アスリートにとって、1番大事なものはメンタルなんですね。

マッサージやストレッチなどは、手から気持ちが伝わりますし、言葉1つにしても、メンタルに作用します。

手技も大事ですが、トレーナーはメンタルトレーナーでもあってほしいわけです。だから信頼関係はとても重要です。

トレーナーが、まずアスリートの心身を整え、作ることにより、アスリート自身が自分で技術的な練習をし、トレーニングに打ち込むという仕組みです。さらにメンタルをサポートすることで 気持ちをグッと上げげていくんです。トレーナーという仕事はアスリートのメンタルを上げることが一番重要だと思いますね。

まとめ

前編では馬原さんがなぜ、柔整・鍼灸師の資格を取ろうと思ったのか?そのきっかけをお伝えしました。後編は馬原さんの今後の目標や学生生活についてお伝えしたいと思います!

元ソフトバンクホークス馬原孝浩、特別インタビュー「何事も誠心誠意、一所懸命に取り組むことが大事です。」後編


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